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財産債務調書ってなんじゃ、と確定申告を作ると気付いた人、少ないと思いつつもちょっと書いてみる

そろそろ確定申告の季節ですね
そろそろ確定申告の季節ですね。
こんな風になりながら申告書を作ってませんか?
もうそろそろ確定申告の季節がやってまいりますが、皆さん、ちゃんと一年掛けて準備しましたか?山のような生損保の支払い証明書と源泉徴収票、そしてふるさと納税の領収書に、医療費の領収書、ローンの残高証明書などなど、そんな書類の山と確定申告ソフトとにらめっこ、ですかね?

私もまんまそんな感じで、ちょうど今、自分の分の作成が一旦終わりました。でも、毎年のことながら、国税局のサイトの作成ソフトはよく出来てますよねぇ。正直なところ、外部のソフトを買って使う気がしないくらい、毎年ちゃんと法令等に対応して(そりゃそうだ)いるので、いろいろと遊んでみるのですが、今年ちょっとあれ?と思ったことがあったので、関連する人がどれくらいいるのかわからないのですが、そんなお話です。



財産と債務の明細書がなくなった?

よく考えてみると、こんなソフトを使って確定申告を作る人って

  • 医療費控除で所得税を取り返そうとする人
  • 住宅ローン控除で所得税を取り返そうとする人
  • ふるさと納税の控除を使って所得税を取り返そうとする人
が、基本的なところだと思うのですが、世の中にはこんな人もいるんですよねぇ。

  • 年収が2000万円を超えるので年末調整しても確定申告をしないといけない人

ちなみに、26年の給与所得者の平均年収は、国税庁の調査によれば 415万円、だそうな。となると、ここに該当する人って何人なのかといえば、同じ資料を見ると、20.6万人、全体の0.4%程度、ということで、いるといえばいそうで、まぁ、普通に考えるとそんなに縁がなさそうな世界、かもしれません。

が、このレベルの人たちに対して、どういうわけか平成26年度まで、確定申告の際に「財産と債務の明細書」という資料の提出を求めていたんです。何かといえば、確定申告でフローに当たる年間の所得についての開示を求める一方で、ストックに相当する自分の保有する資産と負債も開示するようにしていた、ということなんです。

で、もし覚えている人がいれば、ですが、昔々、高額納税者番付なんて言うものがありましたよね。あれでいくら税金を納めたかも公開されていたので、前年の年収もある程度逆算できる、なんて下世話な制度だったのですが、さすがにあれは誘拐とかも起こるのでやめたものの資産と負債については税務署にだけは開示を求めていたんですね。実際に国税庁のプログラムでもこの明細書が出てくるんです。

でも、今年、普通にこんな人たちのシナリオで確定申告資料を作ってみたら、出てこなかったんです。

確定申告書、あれこれありますよねぇ。。。
確定申告書、あれこれありますよねぇ。。。
財産債務調書の創設

平成27年度から、これまでの「財産と債務の明細書」に変わる制度として導入されたのが「財産債務調書」と呼ばれる資料の作成・提出義務。この対象となるのが
  1. 所得税等の確定申告書を提出しなければならない方で、
  2. その年分の総所得金額及び山林所得金額の合計額(注1)が 2 千万円を超え、かつ、
  3. その年の 12 月 31 日において、その価額の合計額が3億円以上の財産又はその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産(注2)を有する方
は、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な事項を記載した財産債務調書を提出しなければなりません。
注1) 申告分離課税の所得がある場合には、それらの特別控除後の所得金額の合計額を加算した金額です。ただし、①純損失や雑損失の繰越控除、②居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除、③特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除、④上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除、⑤特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除、⑥先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除を受けている場合は、その適用後の金額をいいます。
(注2) 「国外転出特例対象財産」とは、所得税法第 60 条の2第1項に規定する有価証券等並びに同条第2項に規定する未決済信用取引等及び同条第3項に規定する未決済デリバティブ取引に係る権利をいいます。
さて、何のこっちゃ、縁もない話だし、と思って流さずに、もしもそれだけ稼げるようになった時に困らないようにちょっと頭に入れてみましょう。
そもそも、条件の最初の二つで、確定申告しなければならない、総所得金額と山林所得金額の合計で、となってますが、そこに分離申告課税も含める、ということは、株式譲渡とか不動産譲渡の譲渡益で荒稼ぎした時にも引っかかる可能性がある、ということ、です。ほら、気をつけないとやばそうですね(笑)

ただ、資産評価額として3億円以上、もしくは「国外転出特例対象資産」で1億円以上持っていなければ対象にならない、そうなので、ひとまず安心、という人も増えたかもしれませんが、逆に、代々からの引き継いだ土地を持ったまんまだった、という人だと引っかかる可能性がありますね。しかも、「国外転出特例対象資産」というのが、端的にいえば株や債券、投資信託あたりなどを指していますから、株で大儲けしつつ、雪だるま式に膨れ上がったポジションが残っていると引っかかる可能性がある、ということでもあるんですね。確かに、株や債券、デリバティブのポジションなら非居住者になるために国外に持ち出して売り払うことで譲渡益に対する課税を逃れることが可能になりますからね。

で、このルールで何がしたいの?

ということで、なんとなく、この制度の目的が見えてきましたね。そうなんです。この数年、相続税に対する強化が進んでいる中で、相続税を逃れるために資産を海外に移転させる人たちが増えている中で、すでに国外に持ち出すときに資産に課税するルールが導入されていますが、その前にある程度捕捉しておきたい、ということの表れなのでしょう。その意味で資産を持っている人に絞り込んだ、という解釈も出来そうですね。

実際、世界的に US/UK FATCA が導入された背景に、先進国諸国から所得税や相続税を逃れるために資産を持ち出して、かつ非居住者になろうとする人が増えていることに対して、逃げ出せないようにしつつ、海外にすでに移転した資金の流れに対して非居住者のふりをしてコントロールしているようなケースに対応したい、ということがあるのです。ですので、ある意味今回のルールの改正はそこに海外と歩調を合わせている、と思えば納得の行くところかもしれません。

が、悩ましいですよね。給与所得者の 0.4% の動きを捕捉してどれだけ税収に影響があるのか、という話のはずですが、そこが無視できない、という現実が各国の税務当局を動かしている、という事実でもあるわけですので。。。富の偏在化、と言われれば、それまで、かもしれませんし、それを持って金持ち批判するべき、とも思えないのです、個人的には(それは彼らが税収を支える人たちなのですから、非難して国外に逃げられるとダメージが大きい、という裏返しでもあることに気付くべきなのですが。。。)。


ということで、まぁ、こんな議論、気付いたら FPな話と思ったら、ファンドの世界の流れにもちゃんとからめて面白かった、と思っていただけたら感謝です。
Shinobu Miyata

Shinobu Miyata

I... a financial consultant based in Tokyo. But... sometimes becoming crazy for omelets around the world, and nomad working life style. Namely, just a nerd.

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