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インドとモーリシャスの蜜月関係、やっぱり予想通り解消に向かう

インドといえば蓮の葉、でわかるかな???
オフショアで投資をする時のメリットとして、租税条約を使って二重課税を回避するための国選びがしやすい、ということがあります。どういうこと?と思った人、多分多いと思います。何せ、このところの「オフショア、租税回避」というキーワードだと、税金が掛からない国や地域、という言葉が引っかかるでしょうから、その国での租税関係だけがイメージとして強いと思います。

租税条約のメリットとは?

しかしながら、今回のインドのように、ある特定の国からの投資に対してはキャピタルゲインタックスを減免する、とか、アイルランドのように、G7国などに対する投資からの利息や分配金に対して課税を減免する、というように、特定の国の組み合わせを使うことで投資に対する課税のメリットを得ることが出来る、というものがあるのです。

インドとモーリシャス - 多分一番わかりやすい二重課税回避の例

そのある意味一番有名な組み合わせとして結構知られていたのが、実は、モーリシャスからインドへの投資、でした。インドの税務当局がモーリシャス籍の会社などによるインドの会社の株式の譲渡にかかるキャピタルゲイン税に対しては課税を免除する、ということをしていました。この免税措置のおかげで、海外の企業がインド国内への株式投資を行うにあたって、もっぱらモーリシャス籍の会社やファンドを作り、またその会社がインド国内への投資のライセンスを得た上で、インド国内への投資を行っていました。

インドにとってのメリットとデメリット

インドにとって、この特定の国に対する課税免除の特典というのは、海外からの資金流入・流出を管理するという意味では国を限定して誘導することにメリットがありました。モーリシャスがインド洋に浮かぶ、インドと同じ英連邦の島、ではあるものの、もともとがインド貿易の中継地となるアフリカ東部の島、であったことなどから、インドとの経済的なつながりも太いことや、1968年の独立以降、この島自身のタックスヘイブンとしての役割を相まって、インドへの投資のゲートウェイとして海外から注目を浴び続けてきてきました。

しかしながら、外資流入という比較的成長のための資金を求める国にとって大きなツールというのは、得てして意図しない使われ方にも流用されてしまうのです。しかも、インド政府の高官たちに。なんと、自身の海外拠点の資金をモーリシャスを経由してインド国内に還流させ、株式の売買を無税で行っているケースが後を絶たなかったのです。このため、実はこの5年ほど、インド税務当局は実業としての投資としての実体の少ない、モーリシャスに対する免税措置をやめる、という噂が後を絶たなかったのですが、税務当局以外の政府筋が上記の事情を守るため、かどうかはわかりませんが、免税措置を残すように働きかけていた、という政府内の対立が続いてたと言われています。

今回の影響

2016年5月10日にインドとモーリシャスの両政府が締結した既存の二重課税回避のための租税条約に上記の免税措置を終わらすものが入るとされていて、インド政府側からそのような発表がされました。
これによって、12か月未満の短期保有のインド国内の会社のモーリシャス籍の保有者による譲渡にかかるキャピタルゲイン税が 0%から 15%に引き上げられる、ということです。なお、もともと12か月以上の長期保有のインド国内の上場会社の譲渡にかかるキャピタルゲイン税については 0%となっております。この導入にあたっては一定の暫定期間を置かれるともされています。

で、この結果、日本に持ち込まれているインド株ファンドのほとんどはモーリシャス経由ですので、これによってゲインの 15%をインドの税務署に取られてしまう、ということです。これは結果としてパフォーマンスの劣化、とも意味します。

モーリシャス以外の租税に関するメリットのある国とその影響は?

インド国内への投資に関して、この5年ほど注目を浴びていた国が一つあります。それはシンガポールです。実際にアジアの拠点としてアジア各国のビジネスを統括する拠点に目されるシンガポールですので、シンガポール法人がインド国内の拠点となる法人の株式を取得・保有するのは実務的に行なわれていることでしたので、モーリシャスほど税務当局としても白い目で見ることもなかったのですが、他方で、特にシンガポール籍の LPSなどについては、投資履歴が 2年経つまではシンガポール国内での課税対象にもなるため、シンガポールからの PEのために使われると期待されていた LPS のニーズはさほど増えなかった、と記憶しています。
とはいえ、租税免除のメリットはあったはず、なのですが、今資料を見る限りでは、今回のモーリシャスとの租税免除の解除と同じくシンガポールとも(見直しと再交渉がなければ)租税免除が解除される、そうです。
従って、どのルートを使っても、今まで享受してきたメリットはなくなる、ということのようです。

まとめ

世界的な課税強化の流れを受ければ、今回の決定は当然のことでしょうけれども、なかなかこれでインド投資への影響が出るのだろうとは予想しています。実は今、インドのファンドマネジャーと商品設計をしているのですが、彼らのシンガポール籍のファンドは最初からこの短期投資に対する15%のキャピタルゲイン税の課税を行っていたので、モーリシャスだけでなくシンガポールも閉じられたとしても、パフォーマンスの劣化はここからは発生しない、ということのようです。

[追記: 17/May/2016] この話をよく寝たあとに数か所でし始めている(上記含めて、大抵記事は夜中に書いておりますので、誤字脱字以上に論調もおかしい時があります。。。)と、脳が動き出したからか、別の側面での意図がみえてきたので忘れずにアップデートすると。。。

元々12ヶ月以上の保有後の譲渡についてはキャピタルゲイン税は非課税で、それより短い期間の保有の場合の譲渡のキャピタルゲイン税が本来は掛けるところを免税にしていたのを免税解除とした、訳ですので、海外投資家に対して長期保有に誘導したい、という意図が働いた、のだと解する方がすんなりいきそうです。特にインドへの海外からのアクセスについてはシンガポールよりもモーリシャスが大きいことを踏まえるならば、その影響はパフォーマンスよりも保有期間やそのための保有銘柄の選別条件の方に更に大きくなると考えられるでしょう。

ですので、短絡的にネガティブとみるよりはより長期保有でバリューアップを狙える運用スタイルに多くの運用者がシフトするのかもしれません。
Shinobu Miyata

Shinobu Miyata

I... a financial consultant based in Tokyo. But... sometimes becoming crazy for omelets around the world, and nomad working life style. Namely, just a nerd.

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