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2017年11月18日土曜日

Say something on cryptcurrency: ICOって儲かるの?

(著者注:2017年11月19日にあれこれ加筆修正しました。まずは書いてそれから加筆修正する、と言う方がよりたくさん書けるような気がしたので遅筆な私にとって良いような気がして実践して見ました。)

この間某ヘッジファンド関連で仲良くさせて頂いている方から呑みの席で
「なんか、最近ETFネタばかり書いてるじゃない?あれ、bitcoin に流れるんじゃなかったの?」
あ、読んでくれてるんだ、とそっちを喜んでしまった自分がいたのは内緒なのですが、どうもbitcoin ETFの話を軸にあれこれ書かせて頂いたことで、最近ちらほらと、bitcoin関連のお問い合わせを頂くようになってきました。(で、ETFの仕組み関連の問い合わせはぱったりなくなったのは。。。嫌になっちゃったからかな(笑))

で、そのお問い合わせの中で必ず出てくるフレーズが
「ICOやりたいんですよね」
ICOをやって天から降ってくるのは
cryptcurrencyか、それとも法定通貨か
うん、最近、ICOで資金調達、なんて話は、仮想通貨というか暗号通貨、というかcryptocurrency という表現でbitcoin を含んだ全般的な話をする時の総称ですけど、そんな話をしていると、bitcoinの売買益でフェラーリを数台買ってリース業を始める、なんて類の結局のところ、日本にいるならば仮想通貨は取引対象に過ぎなくて生活して儲けた結果の評価をするための通貨は日本円じゃないと食えないから泡銭をロンダリングしてんじゃん、という話を同じくらい頻繁に聞こえてきますが、普通に聞いているとよくわからないですよね。それがなぜ儲かるのか、とか、そもそもの仕組みとか。

とはいえ、これってファンドでもオフショアでもなんでもない話なんですよね。それでも、日本が世界に誇る(ことにはまだまだならないだろう)ファンドのストラクチャラーによる ICOの解説、聞きたい?

ということで、本編を恥ずかしいから(笑)続きに隠してみましたが、この手の話をする時に、ストラクチャラーとしてみるのは法的な作り付けと、経済的な効果の二つ。なので、それぞれの側面で、ICOというより cryptocurrency とそれを ICOしたい企業との関係で考えてみたいと思います。

cryptcurrency とICOを含めたその売買の法的側面とは?

そもそも、bitcoin や ether、最近だと、ICOした Qashなどなど、いわゆる cryptocurrency とは一体なんなんでしょう。Qash で ICOした Quoinex のウェブサイトの下に思いっきり答えが書いてあります。

仮想通貨は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやりとりされる電子データです。
法定通貨が「国がその価値を保証している」、という表現は正直疑問はあります(その昔のイギリスポンドが1ポンド紙幣をイングランド銀行に持ち込むと1ポンド(450g)の金を受け取れた、というような支払いの裏付けがなく、国の信用力/法的強制力が裏付け、ですからね。)が、法律で定められた通貨としての円のようなものではなく、仮想通貨はそもそも、ただの電子データ、なのです。いくら、暗号化された取引履歴を元にしたもの、とは言え。。。

ICOで資金調達、ってことはIPOに似てるからそのICOした会社の株とか、会社の保証みたいなものじゃないの?

会社が資金調達する、というと、通常は銀行などからの借り入れ、といういつか返さなければならない債務を負うか、会社の権利の一部を株式という形で渡す代わりに債務と異なって返さなくともいい資金を得るか、のどちらかです。IPO(Initial Public Offering)というのはその株式での資金調達の方法の一つで、その会社が初めて(initial)公開(Public)市場、すなわち株式市場にて取引できる環境を通じて、株式を提供する(Offering)ことをさします。なお、上場しない企業だって、第三者割当て、という形で第三者な投資家から株式譲渡を通じて株式での資金調達が可能です。

では、ICO (Initial Coin Offering)はこのどちらに当てはまるのでしょう。これを書いている2017年11月現在、進行形で進んでいるICOをしているのはQUOINEという会社さんですが、ここは3.5億のQash トークンをICOして134億円相当の資金調達をしたそうなのですが、実はこの会社の株式はすでにベンチャーキャピタル数社などが取得しています。そんな状態で134億円の株式を世界98ヶ国およそ5,000人弱の不特定多数に発行したら古くからいるベンチャーキャピタルの支配権が薄まってしまいますので困りますよね。

ということは、どうやら、ICOでQashトークンという電子データを売って134億円相当を資金調達した、というよりも売り上げた、と考えた方が良さそうですね。

そうなると、会社の側からすればcryptocurrency のインフラの維持という義務は負うものの cryptocurrency の構造に内包されていると考えてしまえばさしたる負担ではなさそうで、そうなると、通常に資金調達したい会社がその権利を売ったわけでも借金しているわけでもない、と考えるのが良さそうです。ある意味、会社の側からすればお得なお話、ですよね。「電子データ」を売り切っちゃったわけですから。。。(となると、この会社のとって資金調達、とはいえ売上ですので収益扱いになるので巨額に集めた = 巨額の売上が計上されるのでそれ相応の税金の負担も発生する、ということになりますよね。。。インフラの維持は半永久的、に対して。。。)

じゃあ、ICOは何を求めて集まったの?

と考えた時に、この5,000人弱のQashトークンという「ただの電子データ」を手に入れた人はQuoine 社に何を期待して買ったのでしょう。単純にいえば、Qashの値上がり、ですが、それを裏付ける取引の流動性の高さや安定性の期待、他のcryptocurrencyや法定通貨との交換の簡便性、はたまた普段のショッピングなどでの決済の汎用性などがその取引量を増やして値上がりに繋がる背景ともいえて、実際にQuoine社はそのような取引所としてのインフラを提供することのために資金調達をしてサーバーの増強などに使う、とされています。

ちなみに、IPOの後の株と同じで、ICOしたこの会社、Qashトークン全体の時価総額が増えたとしても、自分たちが調達できたのは最初に売った時に手にした134億「だけ」です。野に放たれたcryptocurrency の値上がりを享受するのは、ICOによる売り出し市場以降で手元のQashトークンを誰かさんに取引所経由で売却した時に実際の利益になる(冒頭で触れたbitcoin長者的な、安く仕込んで高く売った人、のような例ですね。)、のも株を同じですね。

その意味では、cryptocurrencyと株式との類似性、というのが見えてきます。そこで cryptocurrency の経済的なメリット、デメリット、と言う観点で話を進めていきましょう。

ICOになぜこれだけの注目が集まるの?

企業の資金調達の手法として、今までは株式や債券などを使ってきましたが、金融行政や過去からの商習慣などから資金調達できる範囲も通常は一つの国で、その国の規制にも続いた形に合わせる必要があり、結果としてだいたい調達資金の1%程度が手数料として銀行や証券会社、弁護士などに払わねばなりませんでしたし、いわゆる有価証券で上場していたりすると、四半期ごとに報告書を作成して提出する義務もついてまわります。しかも馬鹿高い監査を受ける必要すらあります。その労力たるやかなりのもので、おかげで上場廃止した方が本来的な株主や会社のためではないのか?という声が上がるのも当然です。

それに対して、もともと国の縛りのないcryptocurrencyならば、取引所にアクセスできる人ならば世界中だれでも、ということで、より幅の広い人たちからICOへの参加を求めることもできますし、何よりいわゆる有価証券ではないことから、定期的な報告もいらなければ会社の何か、ではないので会社の監査等に縛られることもありません。もちろん証券会社や銀行の関与も不要ですから、高い手数料を支払う必要もありません。

そして、流通市場も全世界的ですから、市場参加者もその国へのアクセスが可能な人たちだけ、という狭い市場ではないこと、そして、法定通貨に縛られていないから24時間365日常に動いている流動性の枯渇の心配のない投資対象、と言えちゃうんじゃないの、と信者さんたちは言うのでしょうね。多分。

で、本当に全てがバラ色なの?

どうなんでしょうね。個人的には流動性の問題は市場参加者が常に一定に存在する、と言う仮説は成立し得ないと考えていますから、何かのショックで流動性が枯渇してもおかしくはない、と言うのは多分地球上で一番流動性の高い取引と言われる為替の世界ですら起こると考えていますので。。。「絶対」はないのですから、そもそも。

そもそも、ICOをやりたい、という企業が自社のcryptocurrencyを作ってICOすればいい、という話なのでしょうけど、そのためにはcryptocurrencyの仕組みを作らねばならないでしょうし、Quoinex のような取引所で取り扱ってもらえるように条件を適合させる必要もあります。

となると、while-label 化された取引所での取り扱い実績のある cryptocurrencyを使って自社ブランドをつけて、とするのが早そうですが。。。それってあのcryptocurrencyもこの cryptocurrency も仕組みは一緒、なので資金調達したい会社のブランド・知名度に依存する、ことになるのかもしれません。となると流通量や取引量勝負?ほぼ日経225連動ETFで見た風景と変わらなくなってきますね。とすればcryptocurrency は一定数出てきては入れ替わって淘汰されていく、のでしょう。では淘汰されたcryptocurrency の末路ってどうなるのでしょうね。株で言うところの紙切れ?いや、ただの電子データになるのでしょう。。。

まぁ、そもそも売りっぱなしモデルですから、資金調達したい会社からすればICOしてあとは cryptocurrency の仕組み上の堅牢性と投資家と取引所にリスクだけ丸投げ、にすらなりかねないのですので、そう考えると、ICOで一番美味しい思いをするのは、ICOした人だけ、ですな。

あとはセカンダリー市場で常に市場リスクに晒され続けながらボールの受け渡しをし続けていきながら一喜一憂し、Ms. Watanabe たちのような高級バッグや高級ランチに興じたり、フェラーリを買う人もいれば、「電子データになっちゃった」と笑って次に行くか、はたまた金融系の監督官庁に「よくわからない取引に巻き込まれた」と泣きついて、と言う風景がcryptocurrency でも起こるのかもしれませんね、ってすでに起きてるか。。。
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